「英熟語」の全体像をつかむ
日本の英語教育の中で「英熟語」と呼ばれるものには4つの種類がある。多くの教材が、この4つの種類をごちゃまぜにしていて、学習者を混乱させている。
英熟語の全体像を把握することで、より効率的に学習し、使うことができるようになる。
1)単なるverb(動詞)+ preposition(前置詞)or adverb(副詞)
例文: Dough walked through the park. (ダグは公園を歩いて通り抜けた。)
This elevator goes up.(このエレベータは上に行きます。)
preposition(前置詞) or adverb(副詞)が単純にverb(動詞)について補足説明している。
preposition(前置詞)ならば、続く名詞との関係を説明「公園を通って」、adverb(副詞)なら動詞を説明「上の方に」。
言ってしまうと、これは熟語でも何でも無い。それぞれの動詞、形容詞、副詞が独立して働いている。
2)collocation
例文: The kids are afraid of spiders.(子供達は蜘蛛をこわがっている。)
The boy was named after his grandfather Harold. (その子はおじいさんから名前をもらってハロルドと名付けられた。)
これは分かりやすく言うと、「単語と単語の相性」と言える。 'afraid'っていう形容詞は'of'と相性がいいから一緒に使う、'name'っていう動詞は'after'と相性がいいから一緒に使う。英英辞書では、collocationはちゃんと太字で表してある。
3)phrasal verb
例文: Mike fell for Lisa's story, and paid her $100.(マイクはリサの話を信じ込んで、彼女に100ドル払った。)
日本の英語教育では、「句動詞」と呼ばれる。
verb(動詞)+ participle (※前置詞に見えるが文法上は分詞と呼ばれるもの) でもともとの動詞が持つ意味とは違う内容を表す。
会話でよく使われる。フォーマルな文章の中ではあまり使われないため、日本人のウィークポイントになっている。
phrasal verbで使われている単語(上記の例文だと'fall"と'for')から意味を推測するのはやめるべき。あくまでセットで、もともとの単語が持っていた意味とは違う意味を表す。
参考まで、phrasal verbの主要なものはこちら。
4)idiom
例文: My mother made a cake from scratch.(母は一からケーキを作った。)
idiomは言い回し。
4')idiomの一種、preposition(前置詞)+ noun(名詞)の用法
例文: I'm sorry. I didn't do it on purpose.(ごめんね、わざとやったんじゃないんだ。)
idiomの一種だが、preposition(前置詞)+ noun(名詞)で副詞/形容詞的にはたらく。
at fault(非がある)、in disguise(偽装して)など。
■まとめ
・英熟語には4つの種類がある。
・新しい単語を学ぶときは、collocationも意識する。文章や会話の中で使える単語にすることができる。
・phrasal verbはくせ者だけど重要。単語の組み合わせではなく、ひとまとめで、新しい単語を学ぶつもりで。
・idiomは言い回し。微妙なニュアンスを伝えたり、会話を生き生きさせる、気の利いた表現だと思おう。
・idiomの一種、preposition + nounも便利
※写真はOxford American Dictionary for learners of English, English Grammar in Useより